老いを防ぐ新しい医療アプローチ セノリティクス薬の基本

高齢化が叫ばれて久しい日本社会。今や男性の平均寿命が80歳を超え、女性は90歳に近くなっています。

ただし、男女とも70歳を超えれば日常生活に何らかの支障が出始めるというデータもあります。日常生活を不自由なく送れる上限の年齢は健康寿命と呼ばれ、健やかに暮らすためにはこの健康寿命が重要になってくるのです。

老化を食い止めようという科学的な試みは昔からありましたが、最近ではセノリティクス薬と呼ばれる新種の医薬品に大きな期待が寄せられています。

セノリティクス薬とは、加齢に伴う体の変調に関わる老化細胞そのものにアプローチする医薬品。本記事では、老化細胞と体全体の老化の関係、そしてセノリティクス薬研究の現状について見ていきます。

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距離を超えて医療の質を高める医療ロボットとドローン活用

医療の進歩は、テクノロジーの進歩と共にありました。映像技術の進歩は内視鏡の発明・発展につながり、電池の進歩は人体への害が少ない長寿命のペースメーカーを生み出しています。

過去20~30年で急速に発展したネットワーク技術もまた、「距離を超えて医療の質を上げる」という形でその発展に寄与しています。本記事では、遠隔地と大都市の医療を結ぶ取り組みの例として、手術ロボットと医療ドローンについて紹介していきます。

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人工ウイルスは危険? 平和利用への取り組み

世界各地で感染を拡大させている新型コロナウイルス。治療法の開発に企業や研究機関が奔走するなか、2020年2月、ノースカロライナ大学でのユニークな試みが報じられています。

それは新型コロナウイルス(COVID-19)の人工合成。すでに判明しているウイルスのDNAをもとにウイルスを再現し、それをマウスに感染させて薬品の実験をするという試みです。

この例に限らず、医療目的での人工ウイルス作成は近年飛躍的に研究が進んできており、合成ウイルス学(Synthetic Virology)という一分野として確立されています。

本記事では、合成ウイルス学の概要、そしてユースケースについて解説していきます。

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ホルモンとは?種無しブドウが教えてくれるその重要性

ホルモンとは何かご存知ですか? 実は色々なものをホルモンと呼ぶことがあるので、一言で答えられる人はいないはずです。ホルモンと聞いて肉を思い浮かべても正解ですし、女性ホルモンや男性ホルモンも正解です。環境ホルモンなんかも時々耳にするのではないでしょうか。

肉のホルモンは除き、ホルモンというのは生き物に作用する一種の「情報伝達物質」です。情報伝達と言うと電気信号などのイメージがありますが、ホルモンとやらは情報伝達によって一体何をするのでしょう。その答えを1番分かりやすい形で表しているのが実は「種無しブドウ」です。ホルモンの正体と種無しブドウの関係について、本記事では簡単に解説していきます。

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早期発見でも危険ながんと末期でも生存率の高いがん

日本人の死亡原因で最も多いものががんです。実に、日本人の4人に1人はがんが原因で亡くなります。しかし、一言でがんと言っても部位毎に種類が沢山あり、それぞれ治療法が異なります。有効な治療法があるものもあれば、有効な治療法が無いものもあるのです。

例えば、「がんは早期発見すれば簡単に治療できる」と言っても、それはがんの種類によりますし、「末期がんでは助からない」と思われてますが、それもがんの種類によります。この記事では、「早期発見でも危険ながん」と「末期がんでも治療できるがん」についてご説明します。

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ビタミン・ミネラルは酵素のために必要な栄養素だった-酵素のしくみ(3)

前回の記事では、酵素が健康のためになるかもしれないし、ならないかもしれない。というお話をしました。これは酵素がタンパク質であり、胃で消化されてしまう可能性があるために起こる仕方のないことです。しかし、酵素の他に体に必要な栄養素として挙げられる「ビタミン」や「ミネラル」が酵素が正常に働くために必要な栄養素だということは意外に知られていません。

炭水化物・タンパク質・脂質がエネルギーになるのは分かります。その一方で、ビタミンやミネラルは体の機能を調節する栄養素であるとしか学びません。今回は酵素の働きに必要になる補因子についてご説明していきたいと思います。

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タンパク質である酵素を口から入れると何が起こる?-酵素のしくみ(2)

前回は酵素の基礎的な機能やメカニズムについてご説明しました。しかし、酵素の働きのしくみが分かっても、体の中の酵素の働きなんて実感もないしよくわかりません。酵素の働きが気になるのは、やはり健康サプリメントなどに関わる時ではないでしょうか?

酵素のサプリメントを摂取すると調子が良くなる。けれども、酵素を口から入れても意味がないという話も聞く。そこで、今回は酵素の構造と口から酵素を入れた後に起こる出来事について解説していきたいと思います。

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酵素とは?化学反応を自在に制御する生物界の職人-酵素のしくみ(1)

酵素は健康に良いもの、化学反応を媒介するもの、鍵と鍵穴の構造で働くもの。どれも正解ですし、何が間違っているということではありません。ただ、酵素というのは普通の人が考えているほど単純なものではなく、科学の世界でもまだまだ良くわかっていない部分の多い非常に特殊な物質です。

また、酵素というのは生命活動には絶対に必要な物質であり、酵素がなくては生物の活動が説明できません。細菌のような小さな生物では、持っている酵素の違いが生命活動の全てを分けることもあるほどです。人間でさえも、食べ物を食べてそれがエネルギーになるまで、全ての過程で酵素が関与しています。酵素がなければ人間は成り立ちません。酵素を理解することは、生物を理解することにも繋がるのです。そんな酵素について、ここでは詳しく扱っていきます。

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糖質制限食とケトン体が人間と脳に与える影響、炭水化物を摂る本当の理由は?

最近では糖質制限ダイエットや低糖質食が話題になっています。糖質というのは要するに「炭水化物」のことですが、低糖質食では三大栄養素の一つである炭水化物の摂取量を極端に減らして生活することになります。そして、糖質の一種であるブドウ糖(グルコース)は脳の大切な栄養源にもなっているため、炭水化物を摂らないと脳に栄養が供給されにくくなるのではないかと心配になるかもしれません。

摂らなければならない栄養を摂らないことで、体に悪い影響は無いのでしょうか? 
また、もし体に何の影響も無いのだとしたら炭水化物を取る意味はあるのでしょうか? 
本記事ではそんな疑問について、簡単にお答えしていきます。

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ステロイドとは? 体内で作られる副腎皮質ホルモンや様々な生理作用を持つ化合物の正体

ステロイドが何かご存じですか?
おそらく、大半の人が「何かの薬」というところまでは分かるはずです。さらに薬としてのステロイドを深掘りすると、「副作用が沢山あって怖い薬」「アトピー性皮膚炎を治す薬」「炎症を抑える薬」など、色々な側面が見えてきます。

しかし、これらはステロイドがどう使われているかを示しているだけで、ステロイドが一体何者なのかを理解する助けにはなりません。もちろん、大半の人々にとって関心があるのは薬としてのステロイドであり、化学式や合成過程なんて知りたくもないでしょう。そこで、本記事では薬としてのステロイドが一体どういうものなのかを、誰にでも分かるように簡単にご説明していきたいと思います。

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