老いを防ぐ新しい医療アプローチ セノリティクス薬の基本

高齢化が叫ばれて久しい日本社会。今や男性の平均寿命が80歳を超え、女性は90歳に近くなっています。

ただし、男女とも70歳を超えれば日常生活に何らかの支障が出始めるというデータもあります。日常生活を不自由なく送れる上限の年齢は健康寿命と呼ばれ、健やかに暮らすためにはこの健康寿命が重要になってくるのです。

老化を食い止めようという科学的な試みは昔からありましたが、最近ではセノリティクス薬と呼ばれる新種の医薬品に大きな期待が寄せられています。

セノリティクス薬とは、加齢に伴う体の変調に関わる老化細胞そのものにアプローチする医薬品。本記事では、老化細胞と体全体の老化の関係、そしてセノリティクス薬研究の現状について見ていきます。

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人工ウイルスは危険? 平和利用への取り組み

世界各地で感染を拡大させている新型コロナウイルス。治療法の開発に企業や研究機関が奔走するなか、2020年2月、ノースカロライナ大学でのユニークな試みが報じられています。

それは新型コロナウイルス(COVID-19)の人工合成。すでに判明しているウイルスのDNAをもとにウイルスを再現し、それをマウスに感染させて薬品の実験をするという試みです。

この例に限らず、医療目的での人工ウイルス作成は近年飛躍的に研究が進んできており、合成ウイルス学(Synthetic Virology)という一分野として確立されています。

本記事では、合成ウイルス学の概要、そしてユースケースについて解説していきます。

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ホルモンとは?種無しブドウが教えてくれるその重要性

ホルモンとは何かご存知ですか? 実は色々なものをホルモンと呼ぶことがあるので、一言で答えられる人はいないはずです。ホルモンと聞いて肉を思い浮かべても正解ですし、女性ホルモンや男性ホルモンも正解です。環境ホルモンなんかも時々耳にするのではないでしょうか。

肉のホルモンは除き、ホルモンというのは生き物に作用する一種の「情報伝達物質」です。情報伝達と言うと電気信号などのイメージがありますが、ホルモンとやらは情報伝達によって一体何をするのでしょう。その答えを1番分かりやすい形で表しているのが実は「種無しブドウ」です。ホルモンの正体と種無しブドウの関係について、本記事では簡単に解説していきます。

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ステロイドとは? 体内で作られる副腎皮質ホルモンや様々な生理作用を持つ化合物の正体

ステロイドが何かご存じですか?
おそらく、大半の人が「何かの薬」というところまでは分かるはずです。さらに薬としてのステロイドを深掘りすると、「副作用が沢山あって怖い薬」「アトピー性皮膚炎を治す薬」「炎症を抑える薬」など、色々な側面が見えてきます。

しかし、これらはステロイドがどう使われているかを示しているだけで、ステロイドが一体何者なのかを理解する助けにはなりません。もちろん、大半の人々にとって関心があるのは薬としてのステロイドであり、化学式や合成過程なんて知りたくもないでしょう。そこで、本記事では薬としてのステロイドが一体どういうものなのかを、誰にでも分かるように簡単にご説明していきたいと思います。

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抗がん剤は何故高い?薬剤の値段を分ける開発コストと市場規模

抗がん剤がいくらするかご存じですか?
がんの種類や薬の種類にもよりますが、基本的にはかなり高価です。一錠数万円するものもあれば、ジェネリック医薬品で一錠数百円の薬まで。一錠百円もかからない市販薬と比べれば大きな差ですよね。

そして、抗がん剤治療ともなれば、その高価な薬を毎日数回飲むことになるのです。月々の負担はどんなに少なくても10万円には達しますし、数十万円の治療費を毎月払っているご家庭だってあるでしょう。高額医療費制度や保険を使ったとして、何年間も払い続けられる費用ではありません。

どうして抗がん剤はこれほどまでに高いのでしょうか?

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ジェネリック医薬品(後発医薬品)の製造メーカーはどうやって製品を差別化しているのか?

ジェネリック医薬品(後発医薬品)と言うのは、先に開発された先発医薬品の特許が切れて他社で生産されたコピー品であり、言ってみれば合法的に生産される廉価版の医薬品です。

先発医薬品の特許が切れているので同じ先発医薬品に対して複数の会社がジェネリック医薬品を生産しており、世の中には似たような医薬品が大量に存在していることになります。開発費も殆どかからず、同じ成分で作られるジェネリック医薬品は一体どうやって差別化しているのでしょうか?

当然ながら、同じ先発医薬品に対して作られた複数のジェネリック医薬品は効果が全く同じなので、薬の効果という面で大きな差別化はできません。しかし、このジェネリック医薬品メーカーの努力により、医療業界は大きな変化を迎えようとしています。

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液体絆創膏ってなに? 利点と欠点、水絆創膏や塗る絆創膏とも呼ばれる瞬時に固まる水に強い医療品

液体絆創膏ってご存じですか? 絆創膏と言うと肌色のテープの真ん中に小さな白いガーゼがついたような絆創膏をイメージすると思います。小さな傷に貼り付けて治ったら剥がすよくある絆創膏。それが液体になったということでしょうか?

液体になったという言い方は正確ではありませんが、アロンアルファのような空気に触れると固まる液体を傷口に塗り、かさぶたが出来るのを待つこと無く傷口を保護する事が出来る製品です。

特に新しい製品ではないのですが、利便性の割にはあまり知られていないので本記事で簡単に紹介していこうと思います。

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疑義照会って?処方ミスが100人に1人!それを防ぐあまり知られていない薬剤師の重要な業務

「病院で処方箋をもらい、処方箋に合わせて調剤薬局でお薬を貰う」

病気を治すための当たり前の過程になってきていますが、どうしてわざわざ調剤薬局を通さなければいけないのだろう、と思う事はありませんか?

病院の中にある院内薬局であれ、外にある院外薬局であれ、必ず薬局を通します。薬局には医師より薬に精通している薬のプロフェッショナルである薬剤師が勤務していますが、実は薬剤師が処方箋を見るというのが患者が薬を使う際にもっとも重要なプロセスなのです。

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プラシーボ(プラセボ)効果を除外したい!米国の製薬会社が遺伝子情報での選別試験を研究中

プラシーボ効果。日本語では偽薬効果とも呼ばれるが、所謂「薬を飲んだからきっと効く」と言う思い込みから、痛みや神経症が直ってしまう効果の事だ。プラシーボ効果は精神的な作用であるため、効果があるのは痛みや精神症状の軽減程度だと思われがちだが、脳内物質の分泌量が変化することで血液の組成が変わり、腎臓や肝臓の疾患にも影響があることが知られている。

国内では殆ど見られないが、海外の医療機関の中では積極的に偽薬効果を狙った治療を行う機関も存在している。どんな薬が効くか分からないような患者にも一定の割合で効果があるため、偽薬であっても薬になるのだ。

それなら良いことの様に思えるが、プラシーボ効果で非常に大きな不利益を被っている会社がある。それは製薬会社だ。

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